《薫風 Gentle Wind》

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 ソルの作品44という作品番号を持つ24曲の存在を知ったのは、私自身それほど前の事ではありません。実は独学でギターを9歳の頃始めた私は、カルカッシギター教則本をコツコツと勉強していたのですが、京本輔矩(きょうもとすけのり)先生の編集されたその本にはカルカッシ以外のギタリストの小品も教材として多く含まれていました。最初のハ長調で、カルカッシの簡単な曲が三曲ほど終わると、直ぐにソルの Andantino という曲が出てきました。カルカッシの曲はいつまで行っても単純で、調が変わっても同じような曲ばかりで詰まらなかったのに、このソルの曲は突然自分が大人になったような魅力に溢れていて、何とも言えない感覚を覚えました。何故その曲だけがそんな感じがしたのか、当時は理由も発見できませんでした。同時に、技術的にはそんなに難しくない筈なのに、上手に弾こうとなると何故か易しくはなかった事も良く覚えています。
 年月も経って、プロとなって、沢山の曲を勉強してきた筈なのに、その「ソルの Andantino」がいったいどの作品番号を持つ「練習曲集」に含まれるのかと、時々探してみても見つけることはできませんでした。ソルには数多くの練習曲や、メヌエット、変奏曲、嬉遊曲そしてソナタなどあり、殆どは勉強していたのでしたが、まだあまり関心を持っていなかった小品集を勉強してみることにしました。すると晩年に書かれた、この作品44に、私の大好きな「Andantino」が「第3番」としてあることを知り、まるで長年別れ離れになっていた恋人に道ばたでばったり会ったような、感動と喜びを覚えました。それと同時にこの曲集が、非常によく出来た曲ばかりで第1番から最後の24番までを一気に弾いて、作者の偉大さを改めて感じた事、その日の夜の事を今でも忘れる事ができません。
 この曲集は1831年に出版されていますが、その8年後に他界したソルにとっては(晩年病気がちであったことを考えれば)、自分の生徒や後世の学習者達に遺した、いわば「遺言」のようなものに思えてなりません。その作者の思いと、私が始めてこの作品でであった時の感動を、今夜皆様にも感じて頂けるなら幸いです。

 

(藤井眞吾:記/2019年6月22日)

 

 

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