別れ Farewell
今年最後の私のコンサートシリーズは、先週の土曜日に終わりました。心配された天気も、午後には雨が上がり、気温も最近にしては珍しく高く、外出しても気持ちの良い一日でした。「別れ Farewell」というテーマでコンサートを行ったのですが、中心となった曲は言うまでもなく、ソルの名作「悲しみの幻想曲 Fantaisie Elegiaque, Op.59」で、この作品の美しさを最大限に表現する事、そしてそれを皆様に聞き味わって頂く事が、この日の最大の使命でした。
この曲はソルの最晩年の作品、おそらく最も最後の独奏曲で、作者の友人でありギターの生徒でもあった、ベスレイ婦人の死に際して作曲されたものですから、20分になんなんとする曲の大半は惜別の悲しみと悲痛さに満ちあふれています。「別れ」はいつも悲しく、つらいものですが、時として人間は自ら「別れ」を選択しなければならない、あるいは「別れる」という途を選ぶべきであると言うこともあります。今回私が2018年最後の音楽会のこのテーマを選んだのは、気持ちのどこかで後者に相当する意図があったからだと考えています。別れる事にってしか得られない新しい道と言うものもありますし、別れて初めてこれまで選択していたものが何であったかを見る事ができると言うこともあります。
2019年も「藤井眞吾 コンサートシリーズ」を充実したものに・・・、少なくとも私自身にとって、より充実したものにしなければいけないと思っていますし、皆様に採ってはそれ以上に有意義な時間にしたいと・・・、これまでやってきた事を乗り越えるべく、「別れ」を告げたいと思っている次第です。
東から、西から、遠方から聞きに来てくれた生徒がいたので終演後一緒に晩ご飯を食べに行きましたが、帰り道もの凄く深い霧がかかってきました。京都市内を出て国道を南下する頃に気付き始め、八幡に近くなってきた頃には20〜30m先は完全に見えなくなっていました。
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- by Shingo Fujii