アンサンブル講習会(8)「CONTRASTE」

contraste

(写真提供:黒田公子)

 

 3月28日、東京での「アンサンブル講習会」を無事に終えました。

 当日の朝になって発熱のため止むなく欠席者が1名出ましたが、35名の受講生が集結し、予定通りのプログラムを終えました。1時からスタートした二重奏、三重奏のアンサンブルレッスンも、この時点でほぼ全員の受講生が集まる事ができましたし、聴講生も熱い視線を送る中、密度の濃い時間を送る事ができたと思います。

 受講生、聴講生ともに「テキスト」を配布しましたが、そこにはアンサンブルに関する私の考え、またアンサンブルをよりやりやすくする為に個々が身に着けるべき、初見や視奏のためのヒントと練習課題を書きました。30分前後、このテキストの解説をして、アンサンブルの練習が実際にスタートしたのは4時くらいでした。

 《CONTRASTE》と命名した今回のための新曲は12分くらいの曲。曲のモチーフとなっている旋律の練習からスタートします。モチーフを明確にすることは曲全体の構成を理解する為にも重要なことです。モチーフの性格はその旋律のアーティキュレーションを明確にすることによって生まれます。この旋律は曲の中間部に現れますが、それを定旋律に、そのほかの声部の変化によって、スペインルネッサンス期の「ディフェレンシアス Diferencias」のような音楽になります。

 曲全体は「ロンド Rondo」の形式で、主題部分はモチーフとなった旋律の要素を使っていますが、それを取り巻くハーモニーとリズムはモダンなものです。パートごとでやっているリズムの噛み合いをゆっくりと練習したり、ハーモニーを形成する分散和音をゆっくり練習したりする中で、曲が徐々に形となってゆきます。今回は特別に「指揮者の指示に従うように!」と言う注意を促す必要はありませんでしたから、練習はとても順調に進みました。主題と主題に挟まれたもうひとつの中間部分は、やはり現代的な響きのする音楽。実は此処で聞かれる約12小節の音楽は、益田正洋さんのために作曲した《地平線の協奏曲》第三楽章の独奏ギターのカデンツァからの引用です。この講習会の企画・主催者であった、益田さんに敬意を表しここにその「音」を挿入した、と言うわけです。原曲では独奏ギターで演奏される音楽を四つのパートで演奏したのですが、また違った味わいの、深い響きが出て来ました。

 約1時間の練習をへて、作品の姿はほぼ見えて来て、受講生の間にもその理解がどんどん深まっている様子がわかりました。短い休憩を挟んで、5時半から再び練習を再開。細部の仕上げをしました。6時15分から「最終演奏」。その前に10分ほどの休憩を取りましたが、その間にも「練習」よりも、頭の中で今から演奏する「音楽の整理」をするようにお願いしました。これはいつも私が言うことです。最終演奏には現代ギター社の渡邊編集長も姿を見せて下さり、演奏会さながらの集中で、立派な演奏を聴かせてくれました。

 夕食を終えてホテルに帰ってみると、さっそく参加者の方々からメールを頂戴していました。また Facebook でも幾人かの方々が参加した感想、聴講した感想などを公開して下さっていました。その中のひとつ、黒田公子さんが Facebook とご自身のブログに公開して下さったコメントを(ご本人の許可を頂いて)ここに転載させて頂きます。私がこの講習会を行い、そして参加者の皆さんに感じて頂きたいと願っていたことを、まさにそのように感じて下さっていたことが、大変嬉しく思います。


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 藤井眞吾先生によるギター・アンサンブル講習会に参加しました。

受講者のレベルや経験の有無を問わずとあるものの
ぐるっと見渡せばどこかのコンクールや演奏会でお見かけした方ばかり・・
若手ギタリストも多くGGサロンは熱気に溢れました。

指揮者とのコミュニケーション、音楽の理解、練習のポイントなどを学んだあと
課題の楽譜が配られます。
この講習会のために作曲された<CONTRASTE>

全員初見です!

指揮者と一緒に音楽を作る 指揮者を見る 指示に従う・・

3時間という時間のなかでどれだけの音楽が作れるのでしょう??

さて・・・結果は・・

 藤井先生の予想以上に(あまり期待はしていなかった?!)
すばらしい演奏となりました!!

受講者のレベルがかなり高いこともあり
最初の一音がでた瞬間から
今まで経験したことのないアンサンブルの世界が広がります〜

音の圧力を感じながら
それでいて美しいギターの音 コントロールされた音色 
アーティキュレーション
音楽 曲の理解へ〜

指揮者に導かれて演奏者の心が一つになり音楽がつくりだされていく

指揮者と一緒に音楽を作るとはこういうことか
藤井先生に求められる音をだしたい!
演奏をしたいという気持がみなぎってきます。

不思議なチカラに引っ張られたような感じでした・・

・・・・
集中と緊張の3時間でしたが
音楽を作る一員になれた幸福感、満足感に満たされました。

新たなギターの魅力、可能性に出会えた喜びもあります〜〜

藤井先生 益田先生ありがとうございました!

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※大変残念ながらこの時の演奏のビデオ撮影に失敗してしまいました。もしも録音などお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非お送りくださいますよう、お願い申し上げます。



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