Festival, its Power and Charm 「フェスティバル」という魅力とちから

festival
 

 8月1日から開催されたドイツ、ニュルティンゲンでのフェスティバル(Internationale Gitarrenfestspiele Nürtingen)、そして10日から開催された、同じくドイツでのイザローンフェスティヴァル(23. International Guitar Symposium Iserlohn 2014)、これらのフェスティバルからお招きを頂き参加しておりました。マスタークラスで教えたり、カネンガイザー氏と二重奏のコンサートをしたり、という楽しみにしていた内容ですが、私が招待された最大の理由はいずれのフェスティバルでも「アンサンブルクラスを指導」するということでした。


 私のこれまでの海外の活動の多くが私の作曲したアンサンブル作品を指導し、実際にコンサートで指揮をする、というのがほとんどでしたから、今回の経験もそれほど変わった仕事ではなかったのですが、最大の違いは二つのフェスティバルで二週間、そしてそのあと Hannover でコンサート、Iceland ではリサイタルとマスタークラス、そしてレクチャーをすると言うことで、前半と後半ではツアーの内容が全く違い、そしてほとんど一ヶ月に及ぶ長い物であったと言う事です。2012年のアメリカのツアーも同様の長さだったのですが、この時はフライトの手配から、移動のプラン、滞在ホテルの予約など全ての作業がニューヨークにあるマネジメントがやってくれたので、今回のヨーロッパツアーとは比べ物にならないほど楽な旅でした。


 ニュルティンゲンのフェスティバルも、イザローンのフェスティバルも多くの回を重ね、歴史と伝統のあるものですが、開催されるロケーションや内容、雰囲気はかなり違うものでした。そのことは友人のカネンガイザー氏から事前に聞いていたのですが、行ってみるとそれは想像以上に、二つのフェスティバルの性格や、おそらく目指しているものが違うものである事を感じさせるものでした。どんな状況であれ、私にとって至上の命題はアンサンブルの指導と言う事なのですが、わたしにとってアンサンブルの指導をすると言う事は(別な言い方をすれば、アンサンブルという形態を借りて指導をすると言う事は)とりもなおさず、ギターリストにとってはきわめて当たり前である「独奏」というやり方を離れ、指揮者を中心に仲間と一緒に音楽を作ると言う作業を通じて「音楽を教える」ということに他なりません。そしてそのことのほとんどは、知識や技術を教えると言う事よりも、約束やルールの中で決して妥協しないリハーサル、そして大きな緊張を持って迎える本番、という一連の経験をアンサンブル(ギター・オーケストラ)のメンバーたちと伴に共有する、ということに尽きます。


 私も30年前にはスペインに留学し、いくつかのコンクールやサマーコースに参加すると言う経験がありましたが、様々な国から若者が集まった時、ある期間の間、時を経るに連れて一種独特の雰囲気が確実に生まれて来ると言う経験を必ずしたものです。今回のフェスティバルもそれは変わりませんでした。しかし今回はゲストと言う立場から見ているので、なにか若者達の力や興奮がもの凄い勢いで、そしてそれは私のアンサンブルクラスでも、回を重ねるごとに、増し、そして生徒達と私のとの間にあった距離や空間が、どんどん近くなり、最後にはステージの上ではじけて、花火のようにどこかに飛んでいく、・・・そんな感覚が確実にありました。それがこういったフェスティバルの「魅力」であり「力」でもあるのでしょう。


rehearsal


 この写真は8月9日、ニュルティンゲンで「SHIKI」のリハーサル風景(ドレス・リハーサル)、そして最初にご紹介した写真は演奏し終えた LAGQ のカネンガイザー氏と演奏に参加した日本人メンバーたちでのショットです。みんなとってもいい表情をしています。そう思いませんか?





コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

search this site.

selected entries

categories

藤井眞吾のその他のサイト

1. 藤井眞吾の Official Web Site


2. 藤井眞吾の Facebook Page


3. 藤井眞吾コンサートシリーズ

3月30日[土]
《春への憧れ Sehnsucht nach dem Frühling》


5. e-mail

mail me

関連サイト

マンサーナ Manzana

Manzana Logo


Facebook

archives

recent comment

links

profile

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM