“ SHIKI ” in Nürtingen ニュルティンゲンでの《SHIKI》

Frano


 8月にドイツの「ニュルティンゲン Nürtingen」のフェスティバルで行ったLAGQとの《SHIKI》の演奏ビデオが YouTube に公開されていましたので、ご紹介いたします。・・・ただし、これは主催者が撮った公式のビデオではなく、オーケストラのメンバーだった「フラノ Frano」君という少年のお父さんがとったものの様です。演奏が始まるとカメラはもっぱらその少年の姿を追いますので、誰がフラノ君かすぐにおわかりになるでしょう。フラノ君はいつも私達の人気者でした。
 そして、この日フラノ君は丁度10歳の誕生日でした。本番の前の最後のリハーサルでは、彼のために皆で「Happy Birthaday to you!」と、大合唱しました。私にとっても素晴らしい想い出です。

 公式のビデオは直に送られて来ると思いますので、もうすこしお待ちください。







recuerdos de viaje -5 旅の思いで-5

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5 - 弾く!


 ここまで「旅の思い出」を書いて来て、一体何の旅立ったのか? と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、本来の目的は勿論、演奏したり、教えたり、ということでした。特に8月のニュルティンゲンのフェスティバルでは LAGQ と《SHIKI》のヨーロッパ初演をすると言う大きな目的がありました。オーケストラのメンバーは、他のアンサンブル曲もあって、練習スケジュールがかなり厳しかったのではないかと思いますが、ほんとうにいい演奏をしてくれました。

 イザローンでは、カネンガイザー氏と二重奏の演奏会をする事、そしてアンサンブル講座では「三つの断章」という曲を指導、演奏する事でした。こちらはスケジュールが上手く立てられていたので、メンバーにも負担は少なかったと思います。最終日の演奏後は沢山の人達が「素晴らしかった!」と私のもとにやって来てくれました。カネンガイザー氏との二重奏は、これまでも何度かやって来たプログラム(「ラプソディー・ジャパン」「紺碧の舞曲」を含む・・・)だったのですが、とても楽しく演奏できました。

 ハノーバーでもコンサートをしました。ここではアルゼンチン出身のギタリスト、レアンドロ君に手伝ってもらって、「はじまりの音楽」から何曲かと、ピアソラも二重奏で演奏しました。ハンブルグでは完全休養の予定でしたが、カネンガイザー氏が紹介してくれた彼の友人に誘われ、M.D.プホール氏と会食したり、彼のコンサートを聴きにいったりと盛りだくさんのスケジュールでした。アイスランドではリサイタルとマスタークラス、そしてレクチャーでは武満徹のギター曲と私の作品の紹介を行いました。ここではなんと言っても、スペイン時代の親友、ペドロ一家にお世話になり、楽しい時間を過ごせた事が大きな想い出です。充実した8月でした。

 10月はハンガリーとセルビアへ。ハンガリーでは私のリサイタルの中で、私の作曲したアンサンブル曲もやって欲しいと言う事で、「四つのリトルネッロ(現代ギター社刊)」を学生達が演奏してくれました。セゲド Szeged という大変静かな学生の街でした。セルビアの旅は、色々と興奮に包まれていました。ゼンタ Senta という町では、前半は私のソロ、後半をハンガリーのギタリスト、D.パブロビッチ氏と二重奏。彼の作品と私の作品を演奏しました。次の町、ノビ・サド Novi Sad でも同じプログラムでしたが、20数年振りの友達が聞きに来てくれたり、とにかく楽しい想い出で一杯です。


 さて、明日のコンサートシリーズ第93回《旅の想い出》では、これらのコンサートで演奏したプログラムから何曲かと、それに関連した曲を演奏する予定ですので、お楽しみに!





recuerdos de viaje -4 旅の思いで-4

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4 - 食べる!


 国内外を問わず、旅に出るとその土地土地の食べ物に巡り会う事が楽しみです。「名産」の類いも良いのですが、何気ないレストランでの食事や安いホテルの朝食などに感動することがあります。

 ニュルティンゲンはフェスティバルではありますが、普通のホテルへの滞在でしたので、朝、昼、ともに美味しかったです。夜は LAGQ の友達や生徒達と近くのレストランで食べましたが、どこもとても美味しかったです。イザローンのフェスティバルは「学生宿舎」みたいなところが会場ですが、食事には随分気を使ってくれていた様です。色々な国からの参加者がいるわけですから、当然ですね。

 アイスランドでは、アイスランドでしか頂けないお肉、それから世界中でアイスランド人と日本人だけが食材として来たお肉を久しぶりに頂きました。数日間お世話になった友人の家は、いつもお父さんとお母さんが12歳の娘の為に料理をしていて、その光景がとても幸せでした。

 ハンガリーとセルビアは、とにかく野菜がおいしかったです。何の事は無い・・・、朝食のサラダに入っているトマトが本当においしかったです。こちらでは思いのほか「魚料理」が多いんですね。川魚です、多くは「マス」。セルビアで頂いた、魚のスパイシーなスープは本当に美味しかったです。

 演奏会の内容とはあまり関係のない話題でしたが、「旅の想い出」として日々を思い返すと、どうしても食べ物のこと、その味、を思い出さずに入られません。

 ・・・ああ、もっと食べたい!



recuerdos de viaje -3 旅の思いで-3

students

3 - 生徒に会う


 海外で仕事をして、自分の教え子に会う・・・、なんていうことはあまり考えた事が無かったのですが、今年はそれが実現しました。

 ドイツのデトモルト音楽院に留学している渡部友美(わたなべともみ/写真右)は8月のドイツで行われたフェスティバルに姿を見せ、私の指導するアンサンブルクラスにも参加しました。日本からやって来た受講生達の面倒も見てくれて大変助かりました。まだ留学は続きますが、身体に気をつけて、頑張って欲しいと思います。

 会所幹也(かいしょみきや)君はオースとリーのウィーンへ。今年の夏に一時帰国し演奏会などもやりましたが、10月に私がハンガリーへ行った時には、私が演奏会をしたセゲド Szeged という町までやって来てくれました(写真左)。ウィーンからハンガリーは意外に近いんですね、驚きました。とは言え、マスタークラスが終わって皆で昼食をとってから、会所君が一人雨降る中を帰っていく姿は、なんだか可哀想になって「がんばれよ〜!」と、思わず声をかけたくなってしまいました。

 二人とも、国は違えど、ギターの勉強を頑張っています。そして私が仕事で行ったところへこうして姿を見せてくれたのは、本当に心の底から嬉しかったです。二人とも頑張れ!


 また先日母の米寿を祝いに北海道へ帰省した時に、京都で大学生活を送っていた時、私のもとでギターを勉強していた、竹形将之(たけがたまさゆき)君が元気な姿を見せてくれました。就職して、北海道へ転勤になっていたのです。来年早々に、千歳市でプロのギタリストとして活躍するお兄さん(竹形貴之)と江差町で演奏会をするそうです。就職して以来ギターを弾けない日々が続いていた様ですが、やっとギターを再開できるようになって本当に嬉しく思います。竹形君も頑張れ〜!




recuerdos de viaje -2 旅の思いで-2

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2 - マスタークラス


 フェスティバルではマスタークラスで教える事も楽しみのひとつです。日本でのレッスンとは全く雰囲気や手応えが違います。昔から良く言われる事ではありますが、日本では教えていても手応えが無い・・・、私が何かを言っても「う〜ん、わかったのかな?」と思ってしまうときがありますが、海外の生徒はこちらの意見に対するリアクション、そして生徒自身の考えがはっきりとわかり易いと言う場合が多いのです。まあ、でもどちらがいいと言うわけではなく、こういった機会に若い演奏家達の演奏を聴くと言うのはとても楽しい物です。

 また今回嬉しかったのは、私のレッスンを受けると言う事で事前にインターネットで私のプログラムを調べて、ブローウェルやモレル、メルツ、アルベニスなどの曲をレッスンにもって来た子が何人か居たと言う事です。(これは、でも、お世辞じゃなく、勉強するんだったら、とってもいい事なんですよ!)。生徒がこういった曲を弾いてくれたり、勿論偶然に、私にとって懐かしい曲で受講したりする子がいると、自然にこちらも色々な記憶が蘇って、饒舌になってしまいます。今回の演奏会では、そういったマスタークラスを通じての想いでの曲もプログラムに加えてみたいと思っています。


*演奏会の詳細はこちらです




recuerdos de viaje -1 旅の思いで-1

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1 - 想い出だらけの旅


 今年も国内外、いろいろと旅をし、演奏をいたしました。来週土曜日のコンサートシリーズは《旅の想い出》というタイトルでやることにしているのですが、今コンピュータの中にある iPhoto の写真や Facebook にアップした写真、そしてタグ付けしてもらった写真を見返しただけでも、あまりにも色々なことを思い出してしまって、かえって、思いでが混乱したような状態です。

 春先には群馬、長野、東京。夏にはドイツとアイスランド、そして先日はハンガリーとセルビアへ行きました。帰国してすぐに私用ですが北海道、そのあとは東京で今年二度目のプライベートレッスン。・・・そう思い出してみると、今年最初に東京でレッスンした時には丁度桜が咲き始める頃で、ホテルの坂道にある桜の蕾が日に日にふくらんでいったことを思い出します。・・・桜と言えば2012年にアメリカで見た桜も美しかったっけ、などと記憶が記憶を呼び覚まします。

 ドイツでは二つのフェスティバルからご招待頂いたので、それだけでも沢山の人に会う機会がありました。自分が教えたり、演奏したりする以外にも、私自身が学んだり、刺激を受ける事も沢山あって、記憶のほとんどはそういう事に偏っています。それからなんと言っても印象に残るのは「食べ物」です。どこの国に行っても、食事は本当においしく、楽しく頂くのですが、国民の平均所得とか、それを日本と比べてみた数字の上での違いと、実際に食べているものの違いにはあまり関係がないような気がしました。「ドイツの食材の安全は世界で最も信じられる」と断言していた北京出身の中国人の言葉や、ハンガリーで食べた毎朝のトマトの美味しさは忘れられません。またついこの間まで、内戦の砲火が飛び交っていたセルビアの人々は、その人もユーモに溢れ、来客を厚く歓待し、エネルギーに溢れた国でした。

 ・・・色々なことを思い出しながら、そして少しだけお話ししながら演奏会を進めていきたいと思います。


*演奏会の詳細はこちらです



・・・with Bill ビルと・・・

cencert
 

 「ビル(Bill)」というのは「ウィリアム(William)」の愛称なのですが、LAGQ のリーダーである、William Kanengiser 氏の事も私達は「ビル」と呼びます。そのビルと、8月11日に、ドイツのイザローンと言うところで開催されたフェスティバルで二重奏のコンサートをいたしました。ソルの「嬉遊曲 作品62」そして私の作曲した「ラプソディー・ジャパン」「紺碧の舞曲」の三曲です。会場には LAGQ のメンバー、スコットやジョンも、そして立ち見の聴衆まで入ってくれて、盛大な拍手を頂いたことが思い出されます。

 そのビルのために私は2006年に「天使の協奏曲 Concierto de Los Angeles」という曲を作曲したのですが、彼はこれまでにアメリカ国内だけでも、かなりの回数を演奏してくれています。今月も3日、4日、5日と三日連続でリサイタルがアリゾナで行われ、この協奏曲が三回演奏されます。


10月3日: Tuscon Guitar Society

10月4日: ASU Herberger Institute for Design and the Arts

10月5日: Grand Canyon Guitar Society


 ドイツで会った時には(それ以前からメールでは)アリゾナで「天使の協奏曲」やると聞いていて、「蛇に噛まれるなよ!」などと冗談を言っていたのですが、それが三回も連続であるとは知りませんでした。つい先日 Facebook でその主催者からコンサートスケジュールの連絡があり、思わず目を疑って彼に「三回も、連続で?」と確認のメッセージを送ったほどでした。そのあとビルに「びっくりしたよ、三回もやるんだって?」とメールを送ると、直ぐに返事が返って来て「そうだよ、これは Shingo Tour なんだ!」と書いてくれていました。

 「天使の協奏曲」は私の大好きな三人の偉大な音楽家(作曲家)を「ギターの天使」に準え、それぞれ・・・


第1楽章「F.ソルに捧げる(カタロニアの天使)」

第2楽章が「F.タレガに捧げる(バレンシア尾の天使)」

第3楽章「L.ブローウェルに捧げる(天使達の踊り)」


・・・と副題をつけています。そしてビルはこの曲(天使の協奏曲)を弾く時には必ず、彼のソロのプログラムに F.Sor、F.Tarrega、L.Brouwer の作品を加え、コンサート全体がこれらの偉大な作曲家達(天使達)に捧げた、素敵な構成にしてくれています。今回もそれは同じ趣向の様です。そのことが(今朝、主催からお知らせ頂いた)以下のサイトのインタビューを聞くとわかります。下の画像をクリックするとインタビューの紹介ページが開きます。音声ファイルのところをクリックするとお聞き頂く事ができます!


KBACH



masterclass マスタークラス

 国内でも勿論そうなのですが、海外での仕事があるとき、マスタークラスで若い生徒を教える事は、いつもとても楽しみな事のひとつです。特に海外の場合には、個性的な生徒が多く、レッスンの中でも自分の考えや意見をはっきりと言葉にする生徒が多く、会話も弾みます。ニュルティンゲンではコンクールを受けていた生徒のレッスンも多く、レベルはかなり高かったです。イザローンではアマチュアで年配の人、自分で作曲した作品を持ってくる人、すでにCDマでリリースしている女性グループ、などなど色々な生徒がいて面白かったです。(下の写真はイザローンでのレッスンの様子/8月15日)


Ladies

 全体を通じて特に若い人達のレッスンで、編曲作品が多かった事が気になりました。またギターのオリジナル作品であっても、19世紀のクラシックのレパートリーを持ってくる生徒が非常に少なく、最近の「流行の曲」が目立ち、そういった傾向は日本だけではなく世界的なのかなと、いささか不安にもなりました。

 しかし、とはいえ私の作品を勉強して持って来てもらうとやはり嬉しいものです。イザローンでは「はじまりの音楽」を聞かせてくれたスェーデンからの愛好家二人がいました。ニュルティンゲンでは私のレッスンを受けると言うので、インターネットで私の演奏会のプログラムをリサーチして「黒いデカメロン」を聞かせてくれた女の子もいました。やはりこういう場合は、レッスンにもついつい熱が入ってしまう、というのは人情と言うものでしょう。(写真はアイスランドでのレッスンの様子/8月23日)


Iceland

 フェスティバルでは事前にレッスンの予定がメールで送られて来ていましたが、現地に入ってからその予定が変わる事もしばしばありました。そういう場合は事務局の掲示板に張り出された予定表に、ご覧のように修正が入ります。


List

 今回は自分の仕事以外に、沢山のゲストアーティスト達がいるわけですから、私もそういった人達のレッスンを出来るだけ聴講したいと、またそのことを楽しみに参加いたしました。イザローンで長年合奏の指導をしている Gerald Garcia 氏が私の生徒だった渡部友美のレッスンをしていましたが、非常に音楽的な内容で、彼のエキセントリックな人柄とは裏腹に、オーソドックスで素晴らしい指導でした。(写真下)


tomomi

 W.Kanengiser や D.Russell は相変わらずの人気で、素晴らしいレッスンを聞かせてくれました。(写真はイザローンでのカネンガイザー氏)


Bill

 David のレッスンはいつもの事ながら要点を押さえ、的確な指導が印象的です。30年前、私が教わっていた時のことを色々と思い出しました。David のレッスンはもっとゆっくり、沢山聴講したかったのですが、残念ながら時間がありませんでした。(写真はニュルティンゲンでの David のレッスン風景)


David



Guitar Music of 19th century 19世紀のギター音楽

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 今回ドイツのフェスティバルに行って楽しみにしていた事のひとつは、私にとっても重要で大きな興味といいましょうか、演奏活動の大きな部分と考えている、19世紀のギターの音楽、それから19世紀ギターの製作家の現状を見る、という楽しみがあったのですが、このイタリアのギター二重奏、Duo Maccai - Pugliese の演奏を実際に聞く事もそのひとつでした。彼らの演奏は YouTube などにも数々見られ、またすでに多くのCDもリリースされていますので、まだ来日の機会はありませんが、日本にも多くのファンがいるようです。


 使用している楽器はオリジナルで、二つのタイプのガダニーニ。ガット弦を使用していて、演奏のスタイルもご覧のように、立った状態での演奏です。プログラムは・・・


program


1.G.Rossini (M.Giuliani) : Sinfonia nell'opera “Il Barbiere di Siviglia”
2.A.de Lhoyer : Duo Op.31-3
3.V.Bellini : Sinfonia nell'opera “Il Pirato”
(Pause)
4.F.Sor : Souvenier de Russie Op.63


duo2
 

 演奏の闊達さ、音楽を構築していく見事な技術、聴衆を一瞬たりとも飽きさせない、いつも音楽に満たされた瞬間を作る音楽性、そして爽やかなステージマナー。一度聞いてしまうと、たちまち彼らの虜になってしまうでしょう。コンサートの後半に演奏したソルの「ロシアの思いで」は圧巻でした。彼らの奏法や作品に対するアプローチが、オリジナルの音楽がどうあったかと言う視点から出発している事は言うまでもないのですが、素晴らしい事は、ステージの上ではそういった事を全く感じさせない、音楽の伝道者と化していると言う点にあると私は思うのです。


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 人柄もたいへん気さくで、あっという間に日本からの参加者達も彼らのファンになってしまいました。コンサートの翌日にはご覧のような記念写真を撮ってしまったのですが(写真私の右手がクラウディオ Claudio Maccari、“両手に花”状態なのがパオロ Paolo Pugliese)、実は彼らのレッスンはどのような時代の音楽でも、非常に論理的で、わかりやすく、受講生の間でも大好評でした。

 マスタークラスの様子、レッスンについてはまた改めてご報告するつもりです。





ポール・オデット Paul O'Dette

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 ニュルティンゲンのフェスティバルでは毎夜コンサート(リサイタル)が開催されたのですが、先日お伝えした David Russell 氏のリサイタル同様、最高の音楽を楽しむ事ができました。中でも忘れることの出来ないものが、このポール・オデット氏によるリサイタルです。


 ポールの演奏は生でも、またCDでも、ルネッサンスの作品、あるいはルネッサンスリュートによる演奏がほとんどで、バロックの音楽といっても、バロックギターやテオルボによる演奏ばかりを聞いて来たように思います。数年前に同じプログラムでの録音が行われた事は知っていましたが、今回のように「バロックリュートによるバッハ」というコンサート・プログラムは初めての事で、それにも驚かされました。


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 プログラムはバッハの「BWV995」いわゆる「リュート組曲第3番(チェロ組曲第5番)」に始まり、「BWV1006a」いわゆる「リュート組曲第4番(バイオリンパルティータ第3番)」、そして後半はS.L.ヴァイスの「組曲 ハ短調」、そして再びバッハの「BWV1001(無伴奏バイオリンソナタ第1番)」、という豪華な内容でした。


 これは私達ギタリストにとってもきわめてなじみの深いプログラムです。全く同じプログラムでギタリストが、いつか、どこかで演奏しても全く不思議のないプログラムなのです。特にギターをやってられる方に気を付けていただきたいのはヴァイスの曲以外のバッハは(ヴァイオリンソナタの「フーガ」は若干、ヴァイラウホのリュート版を前提にしているとはいえ・・・)すべてポール・オデット氏による編曲であり、作品と演奏者の距離は私達ギタリストと何も変わらないと言う事です。


 私が何を言いたいかと言うと、ともすればギタリスト達の多くがバッハの作品を演奏する時(それは言うまでもなくギターのオリジナル作品ではないわけですから)、やれ「独創的な編曲」だとか、「余計な音は加えず原曲通りに演奏」だとか、ひどい場合には「バイオリンより速く弾いただとか」、笑止千万のスタントプレーがまだはびこっているのですが、勿論オデット氏の演奏はそんなことは微塵も見せず、ただひたすら美しく、そして自然な(自身によるリュート用の編曲で)バッハの音楽を、ふくよかに聞かせ、聴衆を楽しませたと言う事です。この印象はオデット氏が、ルネッサンスリュートでそのレパートリーをしみじみと聞かせたくれたときと、全く共通したものでした。


 アンコールで聞かせてくれた「無伴奏バイオリンソナタ第3番」の「ラルゴ Largo」の編曲と演奏も秀逸! 音楽と、自らが奏でる楽器を熟知したものにしかなし得ない演奏でした。


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 例によって終演後はホテルのバーで再会。この本人の屈託のない明るい表情、そして周囲の人間達の明るい表情を見ても、演奏会がどんなに素晴らしいものであったかがわかるでしょう。


 もうひとつ驚いた事は、10年くらい前、日本で彼にあった時、私が彼に話した事などを仔細に記憶していた事・・・。私はほとんど忘れていて、彼に言われて「ああ、そうだった」と思い出したと言うのに、かれはまるで昨日の事のように鮮明に記憶し、私に話してくれた、と言う事でした。今度、彼の演奏を聴けるのはいつの事でしょう。





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