宝石箱を覗くようなポンセの「前奏曲集」

ponce

 

 

 

 ポンセの前奏曲は私が若い頃からセゴビアの演奏でとても良く慣れ親しんだ曲で、学生の頃には良く演奏もした曲です。ショット社からセゴビアの校訂で12曲が出版されていましたが、1981年に Tecla 出版からアルカサール(Miguel Alcazar)の編集によって24曲が出版されます。しかしポンセは24曲をまとめていたわけではなく、セゴビアとの書簡集の中でそのことが語られているだけで、実際に欠落している「ト長調」はアルカーサルがポンセの他の曲を編曲して24曲としています。しかしアルカーサルは後に Etoile 出版から「ポンセの手稿譜による全曲集 Obra completa para guitarra de Manuel M. Ponce」という大部の楽譜を出版し,そこには興味深い資料が数々含まれ、当然「24の前奏曲集」もそこに含まれるわけです。
 問題のひとつはポンセ研究家であるアルカーサル氏のこの二つの出版物で(前奏曲に関して)少なからぬ、そして看過できな相違があり、その点については何ら述べられていないという点です。
 二つ目の問題は、この曲に限らずセゴビアの為に書かれた作品の多くはセゴビアによる入念な校訂(編集)が行われましたが、それらの多くは作曲者との意見の交換が行われ、作曲者自身同意したものであろうけれども、それ以外のものに関しては(特にポンセの場合には)作曲者がほとんど「メモ」の様に書きとめ、残された(完成度の低い)楽譜である可能性があるわけです。ですから、遺品の中から発見された楽譜が必ずしも作曲者の考えを十全に書き留めたものではないと言う、なぜなら作者は「セゴビアがギターのための曲として仕上げてくれるだろう・・・」という前提で書いた楽譜であるという可能性は非常に高いと私は思うのです。
 とは言え、アルカーサル氏による出版の意味は大きく、私が慣れ親しんだこれらの曲も、セゴビア版とはまた違ったポンセの音楽の側面を感じさせ、私を興奮させるものです。ポンセのギター曲のほとんどはセゴビアの演奏によって世に紹介されたわけですが、ともすればそのせいでポンセの音楽がいつもロマンティックなものであると思い込んでしまう危険があります。これらの前奏曲にしても、アルカーサル版から聞こえて来る音楽は時々、ロマンティックと言うよりも印象的であったり、濃厚だと思っていた色彩が、実はもっと透明感のある済んだ色合いであるのではないかと思える場合があります。そしてポンセがギターと言う楽器にこれ程までに様々な可能性を感じ、多くの音を書き綴っていた事に、私は更に興奮し、さながら極上の宝石が詰まった宝箱を覗いているような気分になるのです。

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ソルの作品44について

Op44

 

 

 ソル(Fernand Sor)は作品番号が「63番」まで作品を残していますから「作品44(24の漸進的小品集 24 Petites pièces progressives)」と言うのは中期の作品と思われがちですが、実際には 1839年に没する8年前の作品で、その前年 1830年には「ギター教程 Méthode Complète pour la Guitare」を出版しており、むしろ晩年の円熟期に書かれたものと考えた方が良いでしょう。またこの曲集の序文で作者自身が述べているように、明らかにこの曲集は彼が心血を注いで上梓したと思われる「ギター教程」の続編と見なしうる内容を持っている事も、これらの小品に接する時、深く考慮する必要があるだろうと思います。
 個々の作品が大変簡潔でありながら、豊かな内容を持ち、明快で美しい事は重要なことです。そしてその美しさや音楽性がなぜ産み出されているのかを、驚くほど具体的に見て取れる事は更に驚くべき事です。
 私はこれまで自身の生徒には必ずと言っていいほどこの曲集を勉強させてきましたが、最近は少し考えを治しており、この曲集を勉強すると言う事よりも、いつ、どのように、この曲集と取り組むかと言う事が、生徒自身にとって非常に大事であるだろうと考えるようになっています。
 曲が簡単、演奏が容易だからと言って、クラシック音楽の基本的な事が解っていない人には、まずは難しく、そして時には退屈に感じられるでしょう。逆にすでに演奏技術はある程度ありながら、音楽を自身の耳聴いたり、楽譜を読み解く能力に欠ける人には、一体この曲から何を学ぶべきなのか解らないままに終わってしまうと言う、悲劇的な事態が発生しかねません。だから、生徒のレベルや(技術と音楽の)、音楽への関心の状況を判断して、適切なタイミングでこの課題を与えるようにしているわけです。
 今度の私のコンサートで久しぶりに全曲を弾きますが(藤井眞吾コンサートシリーズ 第132回《神秘の防壁 Les baricades mysterieuses 》3月31日・土 )、こういう内容の深い曲は演奏する度にその時々の自分を鏡のように映し出してくれるので、楽しくもあり、同時に怖くもあります。是非、今月最後の日、31日に演奏をお聴き頂ければと願っています。

 

 

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《Mockingbirds》再版

 

 

 2013年にギター六重奏 guitar sextette の為に作曲した《モッキングバード Mockingbirds》は現代ギター社より出版しておりますが、しばらく絶版となっておりました。最近再版となり、在庫がございますので、購入ご希望の方はこちらからよろしくお願いいたします。

 

 

Mockingbirds-1

 

 

 "Mockingbirds" which I composed for guitar sextette in 2013 was published from the Gendai Guitar company, but it was out of print for a while. It became recently reprinted, so you can purchase easily from here.

 

 

Mockingbirds-2

 

 

 初演時の演奏もお聴き下さい。
 Also listen to the performances at the premiere.
 

 

 

 

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Leonardo & Leandro

Leonardo

 

 

 行ってきました、「レオナルド・ブラーボ & レアンドロ・リーバ ギター二重奏《南米の魂》」。

 

 前半は・・・
   1.二つの作品(H.V=ロボス)
   2.レアンドロのソロで2曲
   3.アルゼンチン・フォルクローレ4曲

 

 後半は・・・
   4.アルゼンチンの古典タンゴ4曲
   5.レオナルドのソロで「アディオス・ノニーノ」ピアソラ
   6.タンゴ組曲(A.ピアソラ)

 

・・・という具合に、前半後半ともブラジルとアルゼンチンの音楽が凝縮されていました。

 ヴィラロボスの「ブラジル風バッハ第5番」は有名ですが、次に演奏された「サンバ・クラシコ」と言う曲は初めて聞きました。レアンドロのソロではディレルマンド・レイスの「ひとつのワルツと二つの愛」が優しく軽やかに、そしてマルコ・ペレイラの「Pixaim」は躍動的なリズムと技巧的な曲をスリリングに見事に聞かせてくれました。「アルゼンチンのフォルクローレ」と分類されていた4曲はしかしながら、いずれもレオナルドの友人であるコロネル氏の作曲や、同様のハインツの作曲、そしてレオナルド自身の新作、もうひとつは有名なエドアルド・ファルーの曲でした。いずれも楽しく聞く事ができました。

 「アルゼンチンの古典タンゴ」はこのあとに演奏されたピアソラに代表されるモダンなタンゴとは勿論風情が違いましたが、いずれも美しく、また二人共にすばらしい演奏で聞かせてくれました。レオナルドの演奏する「ディオス・ノニーノ(A.ピアソラ)」はこれまでも何度か聞いてきましたが、作品に強い愛着を持った彼の演奏はいつも感動的です。最後に演奏された「タンゴ組曲(A.ピアソラ)」は現在のギター二重奏には不可欠なレパートリーですが、単に技術的な要求だけでなく、音楽的にもけっして易しい曲ではありません。それどころか、私には彼らのように演奏されると、超絶技巧以外の何物でもないと思わざるを得ないという、本当にすばらしい演奏でした。

 レアンドロが来日してわずか三日目に行われたこのコンサート、つまり彼らのツアーの第1弾を聞いたわけですが、このあとも日本各地で行われる公演に是非足を運ばれる事をお勧めします。アンコールには・・・、これはこれから演奏会に行かれる人達の為に内緒にしておきましょう。きっと「忘れられない」演奏となるでしょうから。

 

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2nd アルバム「La Strada」に《あいまいなパッサカリア》

 Duo Trussardi のセカンドアルバム、「La Strada」がリリースされました。ここには私の最新作のひとつ、ギター二重奏の為の《あいまいなパッサカリア Vague Passacaglia》の初録音が収められています。(詳細はこちらを・・・

 

 

trussardi_1

 

 

trussardi_2

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2014年に行ったヨーロッパ初演

 この曲、《SHIKI》は2011年から2012年にかけて LAGQ のために作曲した作品ですが、ヨーロッパ初演は2014年、ドイツのフェスティバルに於いてでした。是非お聞き下さい。

 

 

Shingo Fujii - Shiki (European Premiere 2014) from Gitarrenkreis Nürtingen e.V. on Vimeo.

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マスタークラス

masterclass

 

 

 7日から9日まで東京でマスタークラスを開講しました。本日京都に帰還。東京滞在中は良いお天気でしたが、今朝は雨が降り、また京都駅に出迎えてくれた家内の車の中でも、道中激しい雨に遭いました。
 毎回熱心な生徒達と過ごす時間はとても楽しいですが、三日間フル稼働はさすがに疲れます。(写真はチェックアウト直前のホテル)次回開講は「10月9日、10日」の二日間の予定です。

 

 


私の愛する花の選集 Op.46(M.ジュリアーニ)

Op46

 

 

 今年はサクラの開花が一週間も遅いのだそうです。私の地元の「背割り桜」もまだまだと昨日ご報告いたしましたし、先日東京でレッスンをしていた時も、例年三月下旬のレッスンの時は滞在するホテルに上る石榴坂(ざくろざか)辺りにある桜の木々が、日を追うごとに蕾を膨らませ、それが楽しみだったのですが、今年は日も少し早かった上に、この天候のせいでさっぱりでした。
 三月ももう終わろうとしています。四月のコンサートシリーズは《花ひらく Blooming》というタイトルで15日の開催ですが、その頃には京都の桜ももう終わりに近づいているのでしょう。勿論「花」に因んだ曲を何曲かお聴き頂く予定なのですが、ジュリアーニに、《私の愛する花の選集 Op.46》という、ちょっと一風変わった作品集があるのをご存知でしょうか? 「一風変わった」と申しますのは、ジュリアーニと言えば技巧的な作風が先ず頭に思い浮かぶと思うのですが、この曲集はそうでもなく・・・、だからと言ってタイトルから想像するような、可憐でロマンチックな内容かと言うと、そうでもない・・・。10曲が含まれていて・・・

 

 

1. Le Myrte 銀梅花(ぎんばいか)
2. La Pansée パンジー
3. Le Lis 百合
4. Le Jasmin ジャスミン
5. La Rosmarin ローズマリー
6. L‘Oeillet カーネーション
7. Le Narcisse スイセン
8. La Violette すみれ
9. La Rose バラ
10. Le Laurier ローリエ

 

 

・・・と、それぞれが花の名前になっています。この中から、2〜3曲をお聴き頂こうと思っています。お楽しみに!

 

 


マスタークラス受講生募集中!

masterclass

 

 

 5月7日(日)〜9日(火)の三日間、マスタークラスを開講します。現在、受講生を募集しています。
 時々、不定期ですが東京でレッスンをしているのですが、いつもは、受講生一人に1時間しか時間がありません。もう少し時間に余裕を見て、ゆっくりレッスンをしたいので、「マスタークラス」と称して、時間は「90分」とってレッスンをいたします。受講料は「15,000円」です。場所は品川駅から徒歩5分くらいのところです。
 三日間行いますが、各日「5人」のレッスンを予定しています。受講希望者はメールでお問合せ下さい(藤井眞吾 マスタークラス in Tokyo/2017/05)。定員になり次第、募集を終了しますのでご了承下さい。

 

 


きょう、この日に・・・

 今日は、3月11日です。
 きょう、この日にこのCDを聞く事ができて、本当に嬉しく思います。ドイツはハンブルグの少年達によるギター合奏団、Jugend Gitarren Orchester-Hamburg (JGOH) が作成したこのアルバムは「捧げる dedicated」と題され、私が2011年に作曲した「SHIKI」が LAGQ との共演で収録されています。

 

dedicated1

 

 この曲は2011年の東日本大震災の後、数ヶ月後に予定されていたアメリカのツアーにあわせて、LAGQ のリーダー W. Kanengiser氏からの委嘱で作曲した作品です。カネンガイザー氏は日本で起きた大震災や津波の被害に、とても心を痛めていました。愛する日本の人々のためになにかをしたい、ということで、日本の民謡や同様の旋律を使った曲、LAGQ が特に若い学生などのギター合奏と共演できるような「協奏曲」、を依頼して来ました。

 

dedicated2

 

 2012年の3月から4月にかけての私のツアーは、そのために当初のプランよりはるかに長期で大規模なものになりました。「SHIKI」5つのフェスティバルで演奏されました。なかでもイリノイ州で行われた「中央アメリカギター合奏フェスティバル」では250名の参加者が集まり、想像を絶する大合奏となりました。
 その時の映像が以下のものです。

 

dedicated3

 

 このアルバムはごく最近作成され、リリースされた物ですが、一ヶ月ほど前に私のところに送られて来ました。本来ならすぐに聞きたかったのですが、今日この日まで待ちました。あらためて、震災や津波で亡くなられた多くの方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
 以下は「Jugend Gitarren Orchester-Hamburg (JGOH) 」が2015年に行った演奏会のビデオです。

 


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